子宮頸がん 検診から経過観察・手術治療まで 3年間の手術治療体験を公開

子宮頸がん 検診から経過観察・手術治療まで 3年間の手術治療体験を公開

子宮頸がんは、自覚症状を感じてからの手術治療より、がんになる前の状態で、手術治療する方が良いと実感した体験談を公開します。

子宮頸がん検診をきっかけに、妻に子宮頸がんの前段階「子宮頸部中等度異形成」と「HPV感染」が見つかり、切除手術を受けました。経過観察開始から手術まで約2年、手術後1年の経過観察と、合計で約3年掛かりました。その間、夫婦で、子宮頸がんについて勉強し、自分たちなりに理解に努めました。

ただし、自分たちなりの理解ですので、間違ったことも含まれているかもしれません。私たちの体験談として、ご覧願います。正しい情報は、お医者さんへの確認をお願いいたします。このブログの内容は、YouTubeでも公開しています。

目次

子宮頸がんのはじまり ヒトパピローマウイルス(HPV)感染とは?

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染からはじまるそうです。ちなみに、ヒトパピローマウイルスは、英語で、Human Papillomavirus、HPVと略称で呼ばれることが多いようです。

HPVに感染したら、必ず、子宮頸がんになるわけではないそうです。HPV感染のほとんどは、一過性の感染で、からだの免疫力が、ウイルスを排除してくれるそうです。

HPV感染とは、正常な子宮頸部の細胞が感染することです。

そして、ウイルス感染が持続すると、「感染細胞」が、「異形細胞」という「前がん病変」に変異するそうです。

身体の免疫力が、ウイルスを排除すると、感染細胞も異形細胞(前がん病変)も自然に無くなります。けれども、ウイルスが排除されないと、感染細胞と異形細胞が増殖していくようです。

HPV感染から子宮頚がんになるメカニズム

HPVには、様々な型があるそうですが、子宮頸がんで注意が必要なのは、「がん化リスクの高い型のウイルス」だそうです。その中でも、16型と18型が、子宮頸がんになる可能性が高く、がん化のスピードも速いので、注意が必要とのことでした。

どの型でも、HPV感染から子宮頚がんに至る過程は同じです。子宮頸がんは、突然できるものでなく、5年~10年をかけて、徐々にできるものだそうです。HPV感染した細胞は、異形細胞に変異し、増殖しながら、徐々に、がん細胞に変異し、子宮頸がんに近づいて行くそうです。

CIN1(軽度異形成)

HPV感染による異形細胞が、上皮の 1/3以内 にとどまっている状態を「CIN1(軽度異形成)」と言います。自然消失することも多く、通常、3カ月ごとの経過観察を行うそうです。

CIN2(中等度異形成)

HPV感染による異形細胞が、上皮の 2/3以内 にとどまっている状態を「CIN2(中等度異形成)」と言います。自然消失も多く、3カ月ごとの経過観察になることが多いそうです。

ただし、長期間、自然消失しない場合 や 感染したHPVの型が、がん化リスクの高い型と判明した場合は、手術することもあるそうです。

CIN3(高度異形成・上皮内がん)

HPV感染による異形細胞が、上皮の 2/3以上 に広がっている状態を「高度異形成」と言います。がん細胞が上皮内におさまっている「上皮内がん」と「高度異形成」の状態を「CIN3」と言います。

CIN3は、10人中3人が、2年以内に子宮頸がんになるといわれているため、より早い時期の手術が望ましいそうです。

ただし、上皮内がんは、他の臓器に転移しない状態なので、妊娠中に見つかっても、分娩後まで手術を待てることも多いそうです。

子宮頸がん

がん細胞が上皮の外まで広がった状態を子宮頸がんと言います。できるだけ早く手術する必要があるそうです。

円錐切除術で、組織を採取し、病理診断を確定してから、手術・治療方針を決めて行くのが一般的だそうです。

子宮頚がんになるメカニズムを知った感想

子宮頸がんは、HPV感染した後、軽度・中等度・高度と3段階の異形成を経て、ゆっくりと、がんへ進行して行きます。

子宮頸がんは、がんになる前、3段階の異形成の時期に、手術治療できると、とても良いと感じました。子宮頸がんになると、子宮摘出や抗がん剤・放射線治療が必要になったり、治療内容によっては、尿のトラブル、腸閉塞などの後遺症で悩む方もいらっしゃるとドクターから聞きました。

けれども、残念なことに、がんになる前、異形成の時期は、自覚症状がないので、自分で気付くことは不可能だそうです。私たち夫婦は、定期的な検診で、がんになる前の状態で発見し、手術治療できることがとても大切と納得しました。

子宮頸がん検診から手術決断までの体験

妻は、健康診断のオプションで、毎年、子宮頸がん検診を受けてきました。2021年11月の検診で、初めて「精密検査が必要」の判定となり、精密検査を受けました。そこから、約3年間、数カ月ごとの通院生活がはじまりました。経過観察を経て、手術まで約2年、手術後1年の経過観察が必要でした。

手術前2年間の経過観察

妻は、手術までの2年間、4種類の検査を受け続けることで、経過観察を行いました。4種類とは、精密検査としてのコルポ診と組織診・HPVジェノタイプ検査、からだへの負担を軽減できる組織診です。1回の精密検査(コルポ診と組織診・HPVジェノタイプ検査)と2回の組織診を6カ月単位で繰り返す感じでした。

細胞診

細胞診は、子宮頸部の細胞を検査用のブラシなどで採取し、顕微鏡でがんの可能性について調べる検査です。

子宮頸がん検診で行われる検査は、細胞診です。「異常なし」「精密検査が必要」の振り分け判定をします。

検査当日は、入浴を控え、シャワーで済ませる必要があります。

細胞診の判定結果は、様々な様式があるそうですが、妻が通った病院では、「クラス分類」と「ベセスダ分類」を併記する様式で、説明を受けました。細胞診では、「推定される病理診断」が判るので、その結果で、それ以降に受ける精密検査の方法を判断するそうです。

クラス分類ベセスダ分類推定される病理診断必要な検査
クラス1NILM(ニルム)異常なし定期健診
クラス2NILM(ニルム)炎症あり
クラス3aASC-US(アスカス)軽度異形成の可能性精密検査:
ハイリスクHPV検査 or 細胞診
LSIL(ローシル)精密検査:
コルポ診、組織診(生検)
HPVジェノタイプ検査
HSIL(ハイシル)中等度異形成の可能性
ASC-H(アスクエイチ)
クラス3bHSIL(ハイシル)高度異形成の可能性精密検査:
コルポ診、組織診(生検)
ASC-H(アスクエイチ)
クラス4HSIL(ハイシル)上皮内がんの可能性
クラス5SCC子宮頸がんの可能性

手術前の妻は、クラス2 NILM(炎症あり)、クラス3a LSIL・クラス3a ASC-US(軽度異形成)、クラス3a HSIL・クラス3a ASC-H(中等度異形成)の間を行ったり来たりしていました。たのため、細胞診を受けたり、コルポ診と組織診を受けたりを繰り返しながら、経過観察を続けました。

コルポスコピー(コルポ診)と組織診

コルポスコピーとは、内診台に上がったのち、コルポスコープという専用の顕微鏡を使って、子宮頸部を6~40倍に拡大して観察する検査です。コルポ診とも言われています。

組織診とは、コルポ診の際、病変が疑われる数ミリ 四方の組織(1~3カ所)を切除して行う顕微鏡検査のことです。組織診では、細胞自体の変化に加え、組織の深さや細胞の並び方を調べるそうです。

妻の話では、一瞬チクッと痛みがあるそうですが、麻酔はしなかったそうです。ただし、痛みに弱い人は、鎮痛剤も使用できると説明を受けたそうです。検査当日は、入浴を控え、シャワーで済ませる必要がありました。

CIN分類診断結果必要な処置
異常なし異常なし通常の定期健診
CIN1軽度異形成3~6カ月ごとの経過観察
CIN2中等度異形成3~6カ月ごとの経過観察
長期間、自然消失しない場合、円錐切除術 or レーザー蒸散術
CIN3高度異形成円錐切除術
上皮内がん

手術前の妻は、CIN1とCIN2の間を行ったり来たりしていました。経過観察をしながら、自然消失を待つ状態が続きました。

HPV検査

HPV検査とは、HPVに感染しているかどうかを調べる検査です。HPV検査には、「ハイリスクHPV検査」と「HPVジェノタイプ検査」の2種類があります。

ハイリスクHPV検査

ハイリスクHPV検査とは、細胞診で、「ASC-US(アスカス)軽度異形成の可能性」の判定を受けた人が対象のHPV検査です。判定結果は陽性か陰性のみで、ハイリスクHPVの型までは、判定できません。

HPVジェノタイプ検査

HPVジェノタイプ検査とは、組織診で、「CIN1 軽度異形成」「CIN2 中等度異形成」の判定を受けた人が対象のHPV検査です。HPVのDNAを調べて、10数種類あるハイリスクHPVの型まで判定できます。

手術治療の決断

手術するか?判断するための検査

手術直前、手術するか?判断するための検査を行いました。細胞診と組織診、HPVジェノタイプ検査を行いました。

検査診断結果
細胞診クラス3a LISIL(中等度異形成)
組織診CIN2(中等度異形成)
HPVジェノタイプ検査陽性 56型(進行の早い型ではない)

検査結果の説明を受けながら、ドクターの診断を聞きました。診断は以下のとおりでした。

  • 2年間、経過観察を続けてきたが、CIN2(中等度異形成)が自然消失しない
  • 進行の早いHPVでないものの、HPVも排除されない
  • 長期に渡って、改善が確認できないので、手術治療がおすすめ
  • 手術方法は、レーザー蒸散術でなく、円錐切除術がおすすめ

完全切除を確認できる円錐切除術を選択

ドクターからは、診断に続いて、レーザー蒸散術と円錐切除術、それぞれのメリット&デメリットについて説明がありました。ドクターのおすすめは、円錐切除術でした。

レーザー蒸散術

レーザー蒸散術とは、レーザー光線で、病変を円板状に蒸散する(焼き飛ばす)治療法です。局所麻酔で行います。

蒸散するだけで、切除しないので、出血もほとんどありません。また、子宮頸管が短くならないため、妊娠に影響を及ぼさないメリットがあります。ただし、病変が熱で変性してしまうため、病理診断できないデメリットがあります。

簡便な反面、円錐切除術より、異形成の再発リスクが高いと言われています。

円錐切除術

円錐切除術とは、電気メスで、子宮の一部分を円錐状に切除する治療法です。全身麻酔で行います。

がんになる前の異形成や上皮内がんの時点であれば、「円錐切除術」で完全に取り除くことも可能だそうです。切除した組織を病理診断できるメリットもあります。

円錐切除術は、子宮を温存できるので、妊娠や出産の可能性を残せます。けれども、子宮頸管が短くなり、赤ちゃんを子宮内にとどめる力が弱くなるため、早産のリスクが上がるデメリットがあります。

円錐切除術がおすすめの理由も解説してもらいました。

  • CIN2(中等度異形成)の確率が高いので、「円錐切除術」で完全に取り除くことが可能
  • 「円錐切除術」の場合、完全切除の判断が病理検査で可能
  • 「レーザー蒸散術」は、病理検査できないので、完全切除の判断が不可能
  • 円錐切除術の方が、異形成の再発リスクが低い

完全切除とは、肉眼だけでなく、手術後の顕微鏡検査でも、腫瘍がとり切れたことが確認できる状態のことです。治癒切除とも言うそうです。手術で、切除した腫瘍の全ての切断面を顕微鏡で確認し、腫瘍が認められなかった場合に完全切除と判断されるそうです。

妻の場合、CIN2(中等度異形成)を取り残すことがないよう、CIN2周辺の正常組織を含めて切除すると説明を受けました。完全に切除できれば、1年間の経過観察を経て、子宮頸がんに進行する恐怖から解放されるそうです。そして、経過観察の生活からも卒業できます。

ただし、手術後の病理検査で、子宮頸がんが発見された場合は、子宮全摘の再手術を行う可能性についても説明を受けました。病院で手術を受ける場合、常にリスクの説明があります。怖いけれども、覚悟を決めるしかないと考えました。

ドクターの説明を聞いて、妻は、完全切除を確認できる円錐切除術で手術を受けることにしました。

円錐切除術の体験

円錐切除術で手術を受けると決めた後、手術前検査を受診し、手術同意書にサインするための手術事前説明を受けました。手術3カ月前のことです。

2泊3日か?日帰りか?

円錐切除術を2泊3日の入院で受けるか?日帰りで受けるか?を選べるとの説明を受けました。

朝9時からの手術となるため、住まいが遠い人には、2泊3日を薦めているとのことでした。2泊3日の場合、初日はリラックスして過ごし、2日目に手術、3日に出血状況を確認し、退院というスケジュールになるとのことでした。

日帰り手術でも、手術後の出血が止まらない場合、1泊入院になるとの説明を受けました。ただし、出血が止まらないことは、滅多にないので、手術日に帰宅できることが多いとのことでした。妻は、日帰り手術を選択しました。

後で判ったことですが、妻の保険では、2泊3日を選ぶと、日帰りの10倍の保険金を受け取れたようです。経過観察で掛かった費用を保険金でカバーできる機会を失って、少し残念な気持ちになりました。手術を受ける際は、保険内容の確認も大切だと実感しました。

手術前検査

手術前検査とは、手術を受ける際のからだを把握し、安全に麻酔・手術するための検査です。検査項目は、年齢や病歴、内服歴などで変わるそうです。

妻の場合、血液検査と尿検査、レントゲン、心電図でした。血液検査は、貧血や出血傾向の有無、肝臓や腎臓機能、血糖値、感染症の有無などを調べ、手術中に輸血が必要になった場合に備えるためだそうです。

手術に関連する事前説明

手術前検査終了後、ドクターから手術事前説明を受け、手術同意書にサインしました。

手術の目的

ひとつ目の目的は、細胞診と組織診で認めた子宮頸部の異形成を切除すること、ふたつ目の目的は、切除した異形成部位を顕微鏡検査し今後の治療方針を決めることと説明を受けました。

実施医

執刀医1名、助手2名

患者が用意するもの

医療用弾力ストッキングとTパンツを自分で用意して、手術に臨むように説明を受けました。医療用弾力ストッキングを装着することで、手術中、血管内に血栓(血の塊)ができるのを防ぐことができるそうです。病院の売店で、購入できました。

飛行機の中で起きるエコノミークラス症候群と同じ症状が、手術中にも起こることがあるそうです。手術中は、全身麻酔で、動けない状態が続き、手術後もベッドで安静にするため、血栓ができやすい状況になるそうです。Tパンツは、手術後、麻酔が覚めるまで、着用するおむつです。医療用弾力ストッキングは、海外旅行の際にも使えるかも?と密かに思いました。

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手術前日・当日の注意

手術前日、夕食は21時までに済ます必要がありました。水は、手術当日の6時(手術3時間前)までは飲めました。

手術方法

円錐切除術には、電気メスを用いるLEEP法とコールドナイフという専用メスを用いる方法があるそうです。妻の場合は、LEEP法で行うと説明を受けました。コールドナイフ法は、切除範囲が大きい場合に採用されるそうです。

切除後に止血を確認し、止血用ガーゼを挿入して、手術終了となると説明を受けました。手術そのものは30分程度、麻酔も入れると、3時間程度とのことでした。

予想される危険性
出血

手術中に大量出血した場合には、輸血が必要になることがあるそうです。また、あらゆる処置をしても出血が止まらない場合、子宮摘出手術を行う可能性があるとのことでした。

子宮口閉鎖

手術の影響で、ごく稀に子宮口が閉鎖してしまい、腹痛を起こすことがあるそうです。その場合、子宮口を広げる処置を行うことがあるとのことでした。

円錐切除術による手術当日

手術当日の朝、妻は、病院で受付を済ませると、手術前室に案内され、手術着に着替えました。持参した医療用弾力ストッキングも装着したそうです。

着替え後、ストレッチャーに横になり、点滴による全身麻酔を受けたそうです。けれども、憶えているのは、10時にストレッチャーごと手術室に入ったところまでだそうです。麻酔から目覚めた時には、ベッドの上だったそうです。ベッドは、ストレッチャーでなく、通常のベッドだったそうです。ちなみに、目覚めた時には、Tパンツをはいていたそうです。

妻の場合、幸いにも、止血に問題なかったので、そのまま、帰宅できました。手術後1週間しても出血が続く場合は、病院に連絡をくださいと言われました。また、手術後、1週間は入浴と飲酒は控えてくださいと言われました。

手術当日の夜は、止血用のガーゼを抜き、シャワーしました。止血用のガーゼを抜く際、少し怖さを感じたそうですが、抜きやすいように挿入してあったようでスムーズに抜けたそうです。

病理検査から卒業までの体験

手術前のドクターの説明では、切除した異形成部位を顕微鏡検査し、今後の治療方針を決めるとのことでした。

病理検査の結果

手術2週間後、ドキドキしながら、病理検査の結果を聞きに病院へ行きました。円錐切除術で切除した組織の病理検査です。結果は、とても幸運な内容で、安堵できるものでした。以下は、検査結果です。

  • 切除した異形成の状態は、手術前の検査通り、CIN2 中等度異形成
  • 切除した組織に、がん細胞はなし
  • すべての切断面は、陰性
  • 完全切除を確認

病理検査で、完全切除が確認できたので、1年間の経過観察で、異常が発見されなければ、子宮頸がんに進行する恐怖からも、経過観察の生活からも卒業できるとの説明を受けました。ちなみに、病理検査で、がん細胞が見つかったり、完全切除が確認できなかった場合は、追加の手術を受けることになっていたそうです。

手術後1年間の経過観察

手術後、1年間の経過観察では、異形成もHPV感染も見つかりませんでした。経過観察の結果は、毎回同じでした。

検査診断結果
細胞診クラス2 NILM(ニルム)異常なし
ハイリスクHPV検査陰性

手術後1年間の経過観察で異常が見つかりませんでしたので、数カ月ごとの通院生活から解放されることが決まりました。3年ぶりに、年1回の子宮頸がん検診を受けるだけで良い「普通の生活」が戻ってきました。

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