母が亡くなり、不動産の相続登記が必要になりました。私は司法書士でないし、専門的な知識もありません。けれども、住所変更登記・相続登記・贈与登記と、3つの登記をすべて、オンライン申請で行い、無事完了できました。
私は、東京都豊島区在住ですが、相続した実家の不動産は茨城県土浦市でしたので、水戸地方法務局土浦支局に登記申請する必要がありました。ですが、私は土浦の登記所を訪問することなく、自宅のパソコンからオンライン申請し、登記を完了できました。
今回は、登記所に行かず、登記を完了できたオンライン申請の体験を公開します。なお、オンライン申請のプロセスは、申請情報に添付する書類に違いはありますが、住所変更登記・相続登記・贈与登記でさほどの違いは有りません。
オンライン申請のプロセス
私がやったオンライン申請のプロセスはこれらの通りです。
- 添付情報のPDF化
- PDF署名ファイル化(電子署名付与)
- 申請情報へのPDF署名ファイル添付
- 申請情報への電子署名付与
- 申請情報の送信
- 登録免許税の納付
- 添付情報の郵送
- 補正対応
- 登記完了証 / 登記識別情報通知の取得
これらのプロセスに沿って、順に公開します。
添付情報のPDF化
登記情報に添付するため、作成した登記原因証明情報は、電子署名し、オンライン提出する必要があるので、PDF化しました。
- 登記原因証明情報(相続関係説明図、遺産分割協議書など)
オンライン申請後、「原本郵送する」戸籍謄本などの公的書類は、PDF化する必要はありません。けれども、私は、「原本還付」を受けたかったので、PDF化して、オンライン提出しました。
「原本還付」とは、登記申請の際、原本と写しを提出することで、原本を返してもらうことです。
返してもらった戸籍謄本などの原本は、他の手続きでも利用できます。
ただし、「登記のためだけに作成された書類」は、原本還付を受けることができません。
原本還付を受ける場合、申請用総合ソフトで、添付情報を入力する際、(原本還付)(送付)とする必要があります。以下は、相続登記の際、私が申請情報の添付情報に入力した内容です。
添付情報 | 登記原因証明情報(送付) 評価証明書(原本還付)(送付) 住所証明情報(原本還付)(送付) |
---|
PDF署名ファイル化(電子署名付与)
ここでは、住所変更登記の場合で説明します。申請用総合ソフトで、添付する住民票PDFに電子署名を付与し、PDF署名ファイル化します。
「ツール」から「PDFファイルの署名」を選択すると、電子署名したい住民票PDFを選択できる画面が表示されます。
続いて、「参照」をクリックし、住民票PDFファイルを選択し、「開く」をクリックします。
電子署名したい住民票PDFファイルが表示されます。
続いて、「参照」をクリックして、電子署名したい住民票PDFファイルの出力先を指定します。
「ICカードで署名」をクリックすると、ICカード差し込み確認が表示されるので、マイナンバーカードを差し込み、「OK」をクリックします。
マイナンバーカードの署名用パスワードを入力し、「確定」をクリックします。
署名付与が完了しましたと表示されたら、「OK」をクリックします。
署名付与完了と表示されていることを確認し、「閉じる」をクリックします。
申請情報へのPDF署名ファイル添付
申請用総合ソフトで、申請情報に住民票のPDF署名ファイルを添付します。
「ファイル添付」をクリックし、「ファイル追加」をクリックします。
添付ファイルの選択画面が開くので、電子署名した住民票PDFファイルを選択し、「開く」をクリックします。
添付ファイル一覧に、電子署名した住民票PDFファイルが表示されていることを確認し、「保存」をクリックします。
申請情報に電子署名した住民票PDFファイルが添付されていることを確認します。
申請情報への電子署名付与
申請用総合ソフトで、申請情報に電子署名をします。
処理状況に作成済【未署名】と表示されている申請情報をクリックし、「署名付与」をクリックします。
署名対象申請一覧画面が表示されるので、「ICカードで署名」をクリックします。
ICカード差し込み確認が表示されるので、マイナンバーカードを差し込み、「OK」をクリックします。
マイナンバーカードの署名用パスワードを入力し、「確定」をクリックします。
署名付与が完了しましたと表示されたら、「OK」をクリックします。
署名付与完了と表示されていることを確認し、「閉じる」をクリックします。
申請情報の送信
申請用総合ソフトで、申請情報を送信します。
申請情報を選択し、「申請データ送信」をクリックします。
送信前申請一覧が表示されるので、送信したい申請情報の送信対象をチェックし、「送信」をクリックします。
申請情報を送信します。よろしいですかと表示されるので、「OK」をクリックします。送信完了と表示されたら、送信完了です。
「申請番号〇〇の手続について、手続情報が到達しました」とメールが届きます。申請用総合ソフトにログインし、「到達」をクリックし、確認します。
「申請番号〇〇の手続について、受付番号が発行されました」とメールが届きます。申請用総合ソフトにログインし、「受付確認」をクリックし、確認します。
処理状況に「審査中」と表示されます。
登録免許税の納付
申請用総合ソフトで、登録免許税を納付します。
「申請番号〇〇の手続について、納付情報が発行されました」とメールが届いたら、申請用総合ソフトから納付可能です。申請用総合ソフトにログインし、「納付」ボタンをクリックし、画面の案内に従って電子納付します。
電子納付が完了すると、納付状況が「未納付」から「納付済」に変わります。
添付情報の郵送
添付情報は、申請受付日から2日以内に登記所に提出する必要があります。
「アクション」から、「書面により提出した添付書類の内訳表の印刷(不動産)」をクリックして、内訳表を印刷します。印刷した内訳表に申請人の印鑑を押印します。
内訳表と添付書類、切手を貼った返送用封筒を封入して、一般書留で郵送しました。
返送用切手の金額は、封筒に原本還付を希望する書類を入れた状態を郵便局に提示して、教えてもらいました。
その後、「申請番号〇〇の手続について、お知らせがあります」とメールが届きます。申請用総合ソフトにログインし、「お知らせ」をクリックすると、添付情報が登記所に届いたことを確認できました。
補正対応
「申請番号〇〇の手続について,補正通知が発行されました」とメールが届いた場合、補正が必要です。申請用総合ソフトにログインし、「補正」をクリックすると、必要な補正内容を確認できます。
登記所の担当者名と電話番号が記載されているので、電話確認のうえ、補正手続きを行いました。電話確認の際、申請用総合ソフトの使い方に関する質問がある場合は、問い合わせ先を教えてくれます。
登記完了証 / 登記識別情報通知の取得
「申請番号〇〇の手続について、登記完了証及び登記識別情報通知が発行されました」とメールが届いた場合、登記は完了です。
申請用総合ソフトにログインし、「公文書」をクリックして、登記完了証や登記識別情報通知を取得できます。
取得公文書一覧が表示されます。
1,2とクリックし、「表示」をクリックすると、登記完了証を取得できます。
1,2とクリックし、「登記識別情報の表示」をクリックすると、登記識別情報通知を取得できます。
登記識別情報通知は、申請情報を入力した際に設定した暗号化鍵のパスワードを入力する必要があります。
忘れてはいけない大切なこと
これで、相続登記を自分でやった!オンライン申請のやり方は終わりです。
ただし、登記手続き完了後、忘れてはいけない大切なことがあるそうです。申請データは、必ず、外部ファイルにバックアップする必要があるそうです。
パソコンから申請データが消えた場合、申請用総合ソフトで完全なデータ復元はできないそうです。
しかも、一番大切な登記識別情報通知の確認ができなくなってしまうとのことです。
パソコンを買い替える際など、とても注意が必要です。
申請データのバックアップ方法
ここで、申請データのバックアップ方法を紹介します。
「ツール」から「バックアップ」を選択すると、「バックアップ」画面が表示されるので、「参照」をクリックします。
バックアップファイルの保存先を指定し、ファイル名を入力、「保存」をクリックします。
「バックアップ」をクリックし、画面の案内に従って、「OK」をクリックします。
申請データの復元方法
続いて、申請データの復元方法を紹介します。
「ツール」から「復元」を選択すると、「復元」画面が表示されるので、「参照」をクリックします。
復元するバックアップファイルを選択し、「開く」をクリックします。
「復元」をクリックし、画面の案内に従って、「OK」をクリックし、申請用総合ソフトを再起動します。
最後に
相続登記・住所変更登記・贈与登記を自分でオンライン申請し、無事完了した体験は、5話構成です。
それぞれで、司法書士でもない、専門的知識もない私が登記を完了できた体験を公開しています。よろしければ、すべてチェックしていただけると幸いです。